東大生によるMinkyMomoの本
東大SF&アニメ研が大昔に出したミンキーモモの研究誌を久しぶりに読み返した。
前半の考察部分で興味深いのは「地上の人達は夢と希望を失ってない。隠しているだけ」という見方。また夢が「幻想の夢」「将来の夢」の2つあると考える点。フェナリナーサの定義自体が間違ってるというのは素晴らしい着眼点だ。最後に各人の考え方をチャートにまとめていて非常に分かりやすい。どの考察も論理的にミンキーモモの世界を分析している。
首藤さんが手掛けた「まんが世界昔話」から氏の夢に対する考え方を導き出していたのは強烈だった。「大人によって夢が阻害されている現状に対し氏は被害妄想のような感情を抱いていた」。うーん、このブログで私も再三こんな感じの事を綴ってますね。結局のところ誰しも行きつくところは首藤さんの行き過ぎた被害妄想がモモの原点って事だよ。
首藤剛志さん、芦田豊雄さん、渡辺ひろしさん、上條修さん、金春智子さんへのロングインタビューが凄まじく貴重である。雑誌の編集者じゃないから、本来カットされそうな部分まで載せてしまっている。
首藤氏へのインタビュー・「夢のフェナリナーサ」何故モモが超能力を使って交通事故を避けなかったのか脚本では説明してるのに湯山監督がカットしたらしい。こういう事はよくあるけど、脚本の切り貼りで少し疑問が残るような形(説明不足)になったとは思う。
首藤氏へのインタビュー・「殺さないととインパクトっていうかな…(中略)打ち切りって聞いたときに頭にきてさワーワーワーどうしよどうしよってなった時に殺してよかったんじゃないかなって思うんだよ…」ここらへん、ようするに最近自分が書いてた「インパクトのために殺した」って合ってたわけよね。打ち切りパニックになって慌ててモモを殺しちゃったっていうのが本当のところじゃないか。それで「夢のフェナリナーサ」の価値が下がるわけじゃないけど、考え抜かれて作られたエピソードじゃないのは理解しておくべき。
芦田氏へのインタビュー・「マジにやってるわけ。分析しちゃってるんだ(笑)」……いつもイラストだとアニメファンをからかっても薄まってたけど、この人は本気でアニメファンを馬鹿にしてる雰囲気が感じられます。
表紙は上條氏、裏表紙は渡辺氏。鶴山さん、斎藤格さん、芦田さんもイラスト描いてます☆彡
インタビューも流石に何も知らないアニメ雑誌の編集者と違って作品をよく知ってる人達が話を聞いているだけあって質問も濃いし、的確だ。あと漫画や小説もいい味を出してました。小説の方は18歳で大統領夫人に変身とか行きすぎ(笑)漫画は余りミンキーモモ知らない人達らしい。
全体的にモモや美少女キャラの可愛さにも言及しているが、それに留まらずミンキーモモの世界観に深くメスを入れている貴重な一冊だと思われる。読み物としても面白い。あと手書きなのに誤字脱字が少ない!!いや、手書きだからこそなのか…最近の誤字脱字ってパソコンで書くからこそ生じるものだよねぇ。やっぱり手を使った方が脳みそにはいいのかな、と感じました。
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